Corteizがストリートウェアの「スリル」を取り戻した瞬間

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クリント・オグベンナ、28歳。Corteizの創設者であり、今や世界で最も注目されるストリートウェアの顔だ。
彼はThe New York TimesのSunday Stylesの表紙に登場したときも、どこか眠そうな表情で、姉のソファーで寝ていた頃の自分をまだ覚えているような顔をしていた。

数年前、家族が家を追い出され、妹のソファーを寝床にしながら、西ロンドンの小さな部屋でブランドを始めた。
ファッション学校? 卒業していない。
投資家? いない。
普通のやり方? 最初から無視していた。

2024年、Corteizはわずか10人(倉庫スタッフ除く)のチームで約5800万ドル(約85〜90億円)の売上を記録。
直販オンリー、中間業者なし、デパートとの妥協なし。
売上の半分はイギリス、約15%がアメリカから来ている。多くの老舗ストリートブランドが静かに羨む数字だ。

でも本当の話は数字じゃない。

Corteizが与えているのは、ストリートウェアが長い間忘れていた「狩りの興奮」そのものだ。

最近のストリートウェアは退屈になっていた。
決まったスケジュールのドロップ。大量生産のハイプ。転売屋のための商品。
文化は「安心」になりすぎて、かつての尖ったエッジを失っていた。

クリントはそれを敏感に感じ取っていた。だからこそ、真逆のことをした。

何年もインスタを非公開にし、フォローを一種の「入会儀式」にした。
ウェブサイトはパスワードロック。
ドロップは予告なし、数量は極端に少なく、買う行為自体が「体験」になるように設計されている。

125ポンドのカルゴパンツを99ペンスで売るキャッシュオンリーのマーケットポップアップ。
地下鉄の駅を占拠したイベント。
古着のジャケットやSupreme、North Faceなんでも持ってくればCorteizの新品と交換。
収益はホームレス支援団体へ。
メトロのチケットをTシャツと交換したこともあるし、どんなブランドのジーンズでもCorteizのデニムと交換したこともある。

これらは単なるマーケティングじゃない。
着る人よりも長く記憶に残る「物語」を作っているのだ。

「CorteizのTシャツを…地下鉄で買ったこと、覚えてる?」
クリントはそう言って、かすかに笑う。
バズのためじゃない。10年後、20年後、30年後も語り継がれる話を、意図的に作っている。

服自体もその精神をそのまま映している。
Alcatrazロゴのフーディ、存在感のあるカーゴパンツ、荒々しいエネルギーのパファージャケット。
部屋で一番うるさい服を目指していない。
「気づく人だけが気づく」秘密結社のような佇まいだ。

そして今、その「気づき」は世界規模で広がっている。

Aimé Leon Doreのテディ・サンティスでさえ、こう言っている。
「今、15〜17歳の子たちにとって、クリントこそが『あの男』なんだよ」

ロンドンのソファーから、2万5000平方フィートの倉庫へ。
ゲリラドロップから、ニューヨーク・タイムズの2ページにわたる特集へ。
Corteizは誰も書いていない脚本を、自分で書き直した。

ストリートウェアがただの「もう一つのラグジュアリー」になろうとしていた時代に、クリント・オグベンナは、本当の「スリル」がどんなものかを、もう一度思い出させた。

そして、世界中の若くて、落ち着かなくて、本物を渇望する人たちは、しっかりとその声に答えた。

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