2026年の今も、スニーカーヘッズの間で語り継がれる“幻の1足”がある。それが、fragment design x Air Jordan 1 Kim Jones sample made with Louis Vuitton Epi Leatherだ。

2014年、Jordan Brandの歴史に残る名作「fragment design x Air Jordan 1 High OG」が世に放たれた。Hiroshi Fujiwaraのミニマリズムが落とし込まれたブラック×ロイヤルブルーのトリコロールは、瞬く間にクラシックの座を確立した。しかし、その影にひっそりと存在したもう一つのバージョンが、数年の時を経てコレクターたちの心を掴んで離さない。
それは、当時Louis Vuittonメンズ・アーティスティックディレクターを務めていたKim Jonesのために特別に製作されたサンプル。Jordanフリークとして知られる彼のオーダーにより、Jordan Brandは公式にLouis Vuittonの象徴的な素材——Epi Leather(エピレザー)——をアッパー全体に使用した。エピレザーは、植物タンニンで丁寧になめされ、細かな波状のエンボス加工が施された耐水性に優れた高級レザー。バッグや財布で見慣れたそのテクスチャーが、Air Jordan 1のシルエットに覆い被さると、まるで別次元のラグジュアリーが生まれる。
デザインは一般発売版のカラーブロッキングを巧みに反転させたような構成。ブラックのトゥボックスにロイヤルブルーのオーバーレイ、ホワイトのミッドソールが際立つ配色は、fragmentのシグネチャーである稲妻ロゴのエンボス加工とともに、控えめながら圧倒的な存在感を放つ。近くで見ると、エピレザーの繊細なリッジが光を反射し、遠目にはシンプルなブラックレザーに見える——まさに“静かな贅沢”の極みだ。
生産数は、わずか3足。カスタムではなく、Jordan Brandが本物のLouis Vuittonレザーを使用して正式に製作したサンプルであるという事実が、その価値をさらに高めている。2022年、スニーカーコレクターのEnglish Soleが初めて画像を公開したことで広く知られるようになったが、それ以前は極めて限られた関係者の間でしか存在が囁かれていなかった。
Kim Jonesは過去のインタビューで「fragment x Air Jordan 1の未発売バージョンを7足持っている」と語ったことがあるが、おそらくそれは別のfriends & family仕様を指していたのだろう。いずれにせよ、彼が2018年にLouis Vuittonを去った今、このような夢のコラボレーションが再び実現する可能性はほぼゼロ。Virgil AblohによるLV x Nikeの華やかな展開とは一線を画し、ひっそりと、しかし確実に“究極の融合”を体現した1足として歴史に刻まれている。
ストリートとハイファッションの境界を静かに越境したこのサンプルは、決して市場に出回ることはない。所有者はごくわずかなトップコレクターのみ——それゆえに、その存在自体が神話のような輝きを放ち続けている。
今もどこかの金庫の奥で眠る、黒と青の幻。見る者を永遠にため息つかせる、永遠のグラアルだ。
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